絵描きの日記

考える絵描きの旅の記録や近況報告。

絵のことはわからない? もっと気軽に考えてください

~アート系のフリマにて~
 
「この一番小さいサイズの原画は3000円でお売りしてます。」
 
「3000円って聞くとな」
 
「お高いですか?」
 
「いや、俺、絵のことはわかんないからさ」
(去る)
 
 
 
~よく行くお店の店員との会話~
 
「ホームページ見たよ」
 
「ありがとうございます。どの絵がよかったですか?」
 
「そうね、いや、私、絵については素人だけどあの絵がよかったわ」
 
 
 
いらない。
 
その前置き、いらないですよ。
 
きっと自動的に枕詞のように会話の中に出てしまってるのだろうけど。
 
いらないですよ。
 
「わからない」って何ですか。
この絵の価値を決めるのは、僕かあなたしかいませんよ。
 
絵に感想を持つのに、
誰か知らない偉い人の威厳とかコメントは
いらないんですよ。本当に。
 
もっと自分の感覚を信じてくださーーい!!
 
 
もちろんね、ご自身の感覚として「お金を出すほどじゃない」と思われたのなら、そのまますーっと立ち去って頂ければ良いのです。もしも後ろ髪をひっぱられるようなら、「また後で来ますよ」とだけ言って、またホントに気が向いたときにだけ来てくれればそれで良いのです。
 
絵を描くほうは絵そのものを切磋琢磨するのが本業ですから、一瞬で感動してもらえるようなものをつくりたい。しかし、「この絵が欲しい」とまで思われなかったなら、それは自分の絵がそれだけの力を持ってなかったってことでしょう。
 
それなら仕方ないのです。
もっと自分が頑張るだけです。
 
 
ただ、それ以前に感じる
この壁はなに?なんなの?
 
 
絵がわかんないってどういうこと?
絵の「何」がわかんないの?
 
 
これ良い絵だな、ってあなたが感じたときに
必要な知識とか考えるべきことなんてなんもないよ?
 
 
そりゃ確かに
 
古い中世の絵画は時代背景や、
制作時期の作者の生活状況なんかを
知っていたほうがより面白いでしょう。
 
 現代アートもこれまでに
どんなムーブメントが起こって今に至るのか
知っていたほうがより面白いでしょう。
 
 
そういった分野の作品が何十億という値段で取引されているのをニュースで見て、なんでそんな値段がつくのかさっぱりわからず、「絵はわからない」という言葉に繋がるんでしょうか。
 
 
しかし、
もっと気軽に考えてください。
 
僕が描いて、売っている絵は、
あなたの部屋にあるカーテンや壁紙、家族・友人の写真、アイドルのポスターと一緒です。
 
あなたの部屋をデコレーションするのに使ってください。
 
朝、自身のモチベーションを上げるために
休日、友達を呼ぶ部屋の雰囲気を盛り上げるために
使ってください。
 
 
日本にはアートは根付かない、と言われてずいぶん経っていると思います。
 
その原因はなんでしょうか?
色々調べてみても、誰も明確な答えを持っていません。
 
バブル時代に投資の対象とされ、とんでもない値段で取引されていたせいで、「自分とは関係のない世界だ」と思う人が増えてしまったのでしょうか?
だから「絵はわからない」?
 
こんな風になってしまった経緯はわかりません。
 
でも改善の手段はわかります。
 
もっとアートの敷居を低くすることです。
 
 
敷居を低くしろ、というのは、決して作品を値下げしようと言ってるわけではありません。
現時点でも、材料費もまかなえないような、作者のかけた時間を考えると時給換算で最低賃金にも満たないような値段設定をしているのに、絵が売れない、という絵描きさんが日本中に大勢いると思います。実際に何人も会いました。
 
 
アートの敷居を低くするために、絵を描く側のアクションは、もっと、自分が何を考えて絵を描いているのか、アピールをすることではないかと思います。
 
なんとなく日本だと、画家というのは「浮世離れした人」のように囚われがちですが、(わざと演出してる場合は良いのかもしれませんが)そうするとどうしても、自分の絵に興味のある人がいたとして、その人に壁を感じさせてしまいます。
 
 
また一方で、絵に興味のある人には、
生活の中に絵画を取り入れることをもっと気軽に捉えてほしい。
 
カーテンを買い替えるように、絵を買っていってほしい。
 
皆の認識が変わり、アートというものについて自分で判断し、美術館にお金を払ってただ観に行くだけではなく、自分の生活の中に好みの作品を取り入れるのが当たり前の日本になれば、マーケットが生まれます。そうすれば絵描きはもっと本腰を入れて絵を描けます。もっと素晴らしい作品を生み出せます。
 
 
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絵を買うときに考えることなんてなんもないよ、と言いましたが、実際問題、気になってしまうのは以下の2つではないでしょうか。
 
 
1.部屋のどこに飾るのか
この絵はあの部屋のあのスペースに置こう。いや、ちょっときつすぎるかな? あそこの壁の余裕どれくらいだっけ。。。といったように、絵を使って自分の部屋の中をどう盛り上げるか。
 
当然、描いたほうとしてもせっかく気に入って頂いた絵はお部屋に長く飾って頂きたいので、
 
絵についてのイメージとか描いた人間はどういうつもりで描いたのかとか、どんな飾り方が良いだろうか
 
などは
 
どしどし聞いてください。
 
よく、絵を飾る場所がない。。。という方がいらっしゃいますが、それは気のせいです。
 今部屋に貼っているアイドルのポスターを少しずらして頂いて、その横に飾ってください。
 
 
2.絵をどう保管するのか
この絵は秋冬用、こっちは夏用にしよう。あれ、そうすると絵って飾らない時はどう保管しておけばいいの?なんていう場合。
 
 絵画の保管方法についてはネットなどで調べるとだいぶ理想的なことばかりがたくさん書いてあって
 
そんな金や場所あるかーい!
ランクルームまで借りるやつがいるかーい!
だからそうやって敷居を上げてんじゃねー!
 
ってなることがままあります。
 
例えば、うん十万で買った絵ならね。洋服だって、もしも100万円のコートを一着買ったら保管方法にも気を使うでしょう。何百万もしない、生活を彩るためにお手頃な金額で買った絵だからおざなりで良いというわけではありませんが、しかし
 
絵画だからといって、必ず最高級の保管条件が要求されるわけではありません。
 
直射日光を浴びないよう、また、生活の中でひっかき傷などができないように厚紙で包んでもらい、マツキヨで買った湿気取りを入れたクローゼットなどに保管してもらえば十分だと思います。
 
 
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とにかく、絵というものをもっと気軽に考えてほしい。
そんな浮世離れしたものじゃないんです。
 
部屋の雰囲気を変えることが出来る
はっと目に入ったときに心身をリフレッシュ出来る
 
そんなツールです。
 
そのことに気づいて、生活の一部として絵を飾る人は日本にもすでにいらっしゃいます。
 
生活の中に彩りが欲しいと思ったら、自分の感覚を信じて、絵を買い、自分の部屋に飾ることを試してみてください。