絵描きの日記

考える絵描きの旅の記録や近況報告。

絵画、パフォーマンス。ジャンルとしてのスプレーアート

まずは(勝手に)言葉の定義~。

 

スプレーで描かれた絵と言うと、多くの方がまず想像するのは一般に「グラフィティアート」と呼ばれるものではないでしょうか。

 

1.グラフィティアート:
反社会的チンピラの示威行為・落書き、さびれたシャッター街の活性化、もしくは街や店舗内のオシャレ度アップなどを目的に、壁面にエアゾール式スプレーを主な手段として描写すること。

 

これがグラフィティアート

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これは落書き

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それに対して、徐々に世界で広まりつつあるのが「スプレーアート」です。

 

2.スプレーアート:
作品として残すことを目的に、持ち運びが可能な紙などの平面、もしくは道具などの立体にエアゾール式スプレーを主な手段として描画すること。

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落書きではなくて、ひとつの作品をつくるためにスプレーの特性を活かしたアートがスプレーアートというわけですね。さらに、一言でスプレーアートと言っても、よりパフォーマンス重視で、「魅せる」ことに重点を置いた活動をされている方も多く居られると思います。

 

3.スプレーパフォーマンス:
作品の制作風景そのものをエンターテイメントとして観客に見せることを目的に、エアゾール式スプレーを主な手段として描画すること。

 

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「スプレーアート(またはスプレーペイント)」という言葉は多く場合、この2.と3.をひとまとめの意味で使われることが多いように思います。しかし、僕が思うに、この2.と3.はかなり要求されるスキルが違うんですよね。

 

例えば僕は、もともと水彩や鉛筆・ペン画、CGなどで絵を描くのが好きで、スプレーアートを始める前は、友人の結婚式のウェルカムボードを上手く描くためにひたすら友人二人の写真を見ながらデッサンを繰り返したり、自作のアクション漫画を描いたり、旅に出ればその先の風景を描いたり、毎年画風を変えてその年の干支を年賀状に描いたり、「絵」というものには昔から関わってきたのです。なので、2.の意味で作品を作り上げるためのスプレーアートを行うスキルはそれなりに備わっているのだと思います。
余談ですが先日、原宿のデザインフェスタギャラリーで行った展示会では、元絵描きさんだという年配の来場者の方に「そういった基礎があるから表現が広がるんですね~」と言われたのがとても嬉しかったです。 え? はい、自慢です。


しかし3.の意味のように、スプレーを使ってパフォーマンスをせいと言われると、これがなかなかどうして、何をどうやったらいいのかさっぱり分かりません。

今年の春、オーストラリアで許可証をもらって路上パフォーマンス(いわゆるバスキング、日本語でいえば大道芸)を行ったときには、街を行き交う多くの方に観てもらいましたし、とても充実した活動ができたのですが、しかし実際にはBGMすらかけていないし、僕自身は集中すると周りが見えないタチなので、およそ「パフォーマー」としてのレベルは低かったと思います。
(それでも興味を持って声をかけてくれるんだから、オーストラリア人の日々の精神的な余裕、人生楽しんでる感、自分から楽しもう感、そして面白そうなものへの壁の低さは平凡な日本人男性の僕から見たら羨ましいことこの上ありません。)

 

SNSでお知り合いになった東京都公認アーティストで、たまに活動について談義させて頂くこともあるスプレーパフォーマーのファイターさん(すみません、勝手にブログに書かせて頂きます)のSNS上での言動を見ると、作品の画面上で結果的に同じ表現となる場合であっても、「こっちのほうが描いている風景の見栄えがして盛り上がる」とか「早い」「タイミングが合う」とかそういったことを考えて画法を追及されていることが分かります。

 

俺なんかぜーーーったいそこまで考えながら絵を描くのは無理です。どちらかというとじっくりと、画面上の様子を見ながら制作を進めるのが僕のスタイルなので、作品を描いてる風景はとっても地味です。(YouTubeのAKI SPRAY PAINTチャンネルをご参照ください。)


周りからどう見えているかとか、盛り上がりとか、ここがサビですよ、なんてことは一切考えてません。いや、考えられません。

 

よく展示会とかフリマに出ると、「今日は実際にパフォーマンスはしないの?」なんて一回は必ず聞かれるんです。けど、「絵を描くこと」と「パフォーマンスをすること」はだいぶ違う話なんですよ。同じなのは、スプレーを使ったアートだということだけで。

 

おしまい。