絵描きの日記

考える絵描きの旅の記録や近況報告。

絵に作者のサインは必要か?

作品を売るようになった最初の頃、悩んだことの一つが、創った作品にサインを入れるべきかどうか、ということでした。

 
僕は正直、重要なのは絵そのものであって、サインなんて必要ないだろうと思っていました。サインなんて入れなくても、自分はこれでこの絵は完成したと思っている。別に誰が描いたかなんて(俺のことなんて)大した問題じゃないでしょう?と。
 
むしろ、画面の中で邪魔をする、余計な存在になってしまうのではないかと。それが心配でした。
 
 
 
結論から言うと
今はサインを入れるようにしています。
 
 
何故そんな風に考えが変わったのかというと
 
作品をご購入頂いた方からサインを求められることが多かったからです。
 
それ以上でも以下でもないのですが、
 
シンプルすぎるのでもう少しつらつら書くと、
 
年配の男性にも若いお姉さんにも、老若男女、サインを求める方はいらっしゃいました。
 
 
「(今買ったこの絵に)サインください!」
 
とか
 
「サインがなきゃ意味ないよ」
 
なんて言われたこともありました。
 
 
ああ、自分は、絵を買おうと決めてくれた人の気持ちがさっぱりわかってなかったな、とこのとき思ったんです。
 
「絵を買いたい」と思っている人ってどんな人でしょうか。なぜ絵を買う?
 
・引っ越しなど新生活になる節目に、気分を変えたい
・人へのプレゼントにしたい
・お部屋のインテリアとして飾りたい
・心を癒すツールがほしい
 
他にもあると思いますが、いずれにせよ、なんらかの買う動機があるはずです。美術館などで単に「絵を見ている」人とは違います。
 
そして買う動機があるから、それについて色々調べたくなる。逆に言うと、色々わかって理解していないと、なかなか手を出す気にはなれない。
 
なにせ、世の中に「一点もののアート」なんて沢山ありますからね。その中で目の前の絵を選ぶ理由がほしい。
 
加えて、服やCDと違って、絵は買い慣れないものです。
(※もっと気軽に買ってって欲しいと常々思っているわけですが。↓)
 
 
つまり、僕は「絵そのものが良ければそれでいいんだ」と勘違いしていたのですが、絵を買う人は、絵そのものに加えて、
 
その絵の背景、作者の意図、
どうしてその絵に価値があるのかがわかる理路整然とした情報
 
等も含めて「買いたい!」と思うわけです。
 
作者である僕=その絵のことがわかる唯一の人間と対話したからその絵を買ってもらえたんです。その辺に置いてあったら、心の中で気にはなっていたとしても、購入にまで至らなかったはずです。
 
だから、
「この絵は確かに僕という人間が責任もって描いたものです。
わからないことがあったら聞いてね」
 
ということを示すためにサインを入れるようにしました。
 
過去の作品についても、サインは入れていくようにしたいと思います。まぁでも、そもそも絵は画面として完成したと自分では思っているわけなので、かなーーーり目立たないような場所に書くことにしています。
 
画面に合わせて、目立たず、それでいて格好良いサインが書けるようになりたいものです。
 
 
 
 
蛇足ですが。
 
最近は欧米人でもアルファベットの筆記体が書けない人が多いそうですね。僕が子供の頃すでに、周りで筆記体を書けるのは、野球選手に憧れてサインの練習をしている野球クラブの子供だけでした。
 
僕の場合は書けない、というのもありますが、誰が描いたものなのかをわかりやすく伝えるのが目的なので、活字体を用いています。